「ファミリーバイク特約」は、原動機付自転車(125cc以下の二輪車、50cc以下の三輪以上の車)で事故を起こしてしまった場合に、その事故によって生じた損害賠償や、自分のケガなどについて補償してくれる特約です。
自動車保険では、当然自動車による事故しか補償されませんが、このファミリーバイク特約に加入すれば、原付バイクによる事故に対しても補償を広げることができます。
また、このファミリーバイク特約は、任意のバイク保険(月額9,000円前後で年間10万円を超えることも)と比較して、保険料が安い傾向にあります。(年間7000円~2万円程度)そのため、原付バイクに乗っている人であれば、別途バイク保険に加入するよりもトータルで保険料を抑えることができます。
ここでは、ファミリーバイク特約で補償されるケース例や補償内容、メリット・デメリットなどについて解説していきます。
ファミリーバイク特約で補償されるケース・されないケース
ファミリーバイク特約で補償される例、されない例としては、以下のようなものが挙げます。
補償されるケース
- 原付バイクで人にぶつかり、ケガをさせてしまった
- 原付バイクで駐車中の車のミラーに接触して、破損させてしまった
- 原付バイクで電柱に衝突し、ケガをしてしまった
補償されないケース
- 自分の原付バイクが事故で壊れたので修理したい(自分のバイクは補償対象外)
- 250ccのバイクで転倒し、ケガをした(補償対象は125ccまで)
なお、下の項で説明するように、この特約には複数の補償タイプがあり、契約したタイプによっては、自分自身のケガに関しては補償されないこともあります。
ファミリーバイク特約の補償内容・補償金額
ファミリーバイク特約で補償されるのは、「原動機付自転車(125cc以下の二輪車、50cc以下の三輪以上の車)」のみです。125ccを超えるバイクなどは補償されません。
また、この特約には、主に「自損傷害タイプ」と「人身傷害タイプ」の2つのタイプがあり、以下のようにタイプによって補償範囲が異なります。
自損傷害 タイプ |
人身傷害 タイプ |
補償 | |
---|---|---|---|
相手のケガ | ○ | ○ | 対人賠償 |
相手の車・物 | ○ | ○ | 対物賠償 |
自分のケガ | △ | ○ | 人身傷害/自損事故傷害 |
自分のバイク・物 | × | × | 補償なし |
△の記載がある、自損傷害タイプの自分のケガに関しては、自分の過失が100%の自損事故の場合のみ補償されます。一方、相手にも過失責任がある事故の場合は、相手の過失分は相手の保険から支払われますが、自分の過失分は自腹になります。
支払われる保険金額は、相手に対する補償は、自動車の対人・対物賠償保険の保険金額と同様、自分のケガに対する補償は、人身傷害タイプなら人身傷害保険と同額、自損タイプは自損事故の保険金額と同様になります。
ファミリーバイク特約の補償対象者
この特約は、補償される対象者の範囲が広いことが大きなメリットの一つで、以下の人が補償対象になります。
- 記名被保険者
- 配偶者
- 同居の家族
- 別居の未婚の子
また、自動車保険にある年齢制限や免許のタイプ(ブルー・ゴールドなど)も関係ありませんので、子供が高校生で原付免許しか持っていない場合でも補償されます。
ファミリーバイク特約のメリット・デメリット
この特約のメリットとデメリットをまとめてみましょう。
メリット
- 自動車保険契約の年齢制限に影響されない
- 免許の種類・色は関係ない
- 複数の人がバイクに乗る場合は保険料が安い
- 保険を使っても等級が下がらない(ノーカウント事故)
- 借りたバイクも補償対象になる
デメリット
- 等級カウントがない(長期で加入しても保険料が安くなっていかない)
- 人身傷害補償付きタイプの場合は、保険料が高め
- バイクの車両保険や搭乗者傷害は付帯できない(バイクが壊れても保険金が出ない)
- 125cc以上のバイクは加入不可(原付限定)
- 自動車保険をやめると特約もなくなる
- 別居の未婚の子の場合、結婚すると対象外になる
なお、以下のようなケースの場合には、長い目で見るとファミリーバイク特約ではなく、バイクの任意保険に入ったほうが安く済むことがありますので、よく検討したほうがいいでしょう。
- バイクに乗る人が1名
- バイクに長く乗る(長期間契約する可能性がある)
- 125cc以上のバイクに乗り換える可能性がある
ファミリーバイク特約加入時の注意点
ファミリーバイク特約は、補償される対象者の範囲が広いのが大きなメリットですが、そのため重複加入してしまう可能性もあります。
1つの保険で加入していれば、家族全員が補償されますので、車を複数台所有している場合は、1つの自動車保険だけでこの特約に加入すれば十分です。
また、逆にこの特約に加入している自動車保険を解約した場合、ファミリーバイク特約も解約されることになるため、他の保険で加入することを忘れないようにする必要もあります。
なお、当然といえば当然ですが、ファミリーバイク特約に加入していたとしても、バイク自体の自賠責保険への加入は必須です。自賠責保険は、自動車と同様に法律で加入が義務付けられています。
また、バイクで相手にケガをさせてしまった場合、ファミリーバイク特約では、あくまでもバイクの自賠責保険の補償額を超える部分しか補償されませんので、この点は誤解しないようにしましょう。