自動車保険の「ペット補償特約」とは?補償内容と保険金額は?



「ペット補償特約(ペットプラス)」とは、自動車搭乗中の事故で、一緒に車に乗せていたペットがケガをしたり、死亡した場合に、その治療費や葬祭費用を補償してくれる特約です。



現在、全世帯の約27%、4世帯に1世帯以上の世帯で、犬または猫を飼っており、外出するときには犬や猫も一緒に、という家庭も多くみられます。

多くの家で、ペットは家族の一員として大切にされていますが、一緒に出掛けた先での事故で同乗していたペットもケガをした場合、家族と同様に補償をしてほしいと思うのが人情です。また、万一死亡してしまった時にも、人間と同様にきちんと葬祭を行うことで、「ペットロス症候群」を軽減することもできます。



ここでは、このペット補償特約で補償されるケースやその補償内容、散歩中の事故に対する補償の有無などについて解説します。

なお、この特約による補償対象となるペットは、犬または猫だけです。


ペット補償特約で補償されるケース・されないケース

ペット補償特約で補償される例、されない例としては、以下のようなものが挙げます。

補償されるケース

  • ドライブ中に車と衝突し、同乗者と同乗していた犬がケガをした
  • 動物病院に連れていくために猫を乗せていたが、車が事故を起こして死亡した

補償されないケース

  • 事故の際、犬が打ち所が悪くケガをしたが、人間に被害はなかった
  • 猫を膝にのせて運転していたら、事故にあって猫が死亡した



補償されるのは、人身傷害保険や搭乗者傷害の支払い対象になった場合のため、ペットだけではなく、ドライバーや家族も死傷したケースだけです。人間は無傷で、ペットだけがケガをしたような場合は対象外です。

また、ペットを膝に乗せて運転するなど、運転操作を妨げる状態で搭乗させていて、事故にあった場合も、保険金は支払われません。


各ペット補償特約の概要

このペット補償特約が提供されている保険会社はまだ少なく、現時点ではアクサダイレクトと共栄火災のみです。

各保険の名称や概要を以下に説明します。

アクサダイレクト

「アクサ安心プラス」という特約のセット商品である「ペットプラス」という、ペットに特化した特約のセットの一部として提供されています。

「ペットプラス」は、「ペット搭乗中補償特約」と、「日常生活賠償責任補償特約」という「個人賠償特約」がセットになった特約で、「ペット搭乗中補償特約」単独での加入はできません。

「ペット搭乗中補償特約」は、ここで解説しているペットの自動車搭乗中の事故を補償する特約ですが、「日常生活賠償責任補償特約」はペットのみではなく、日常生活で発生する、様々な事故に対して適用される個人賠償責任保険です。

「ペット搭乗中補償特約」は、自動車事故による自分のペットの損害を補償してくれるものですが、「日常生活賠償責任補償特約」では散歩中にペットが他人に噛みついたような場合に、相手に対する補償を行ってくれます。

なお、この特約は搭乗者傷害の特約の位置づけのため、搭乗者傷害への加入も必須です。

共栄火災

「くるまるペットくん」という特約のセット商品で、「人身傷害保険のペット搭乗中補償特約」と「入院時ペット諸費用補償特約」が含まれており、こちらも「人身傷害保険のペット搭乗中補償特約」の単独加入はできません。

「入院時ペット諸費用補償特約」は、ペットが事故にあった時の入院費ではなく、普段ペットの面倒を見ている人が車の事故で入院した場合に、そのペットをペットホテルなどに預けた時の費用を負担してくれるものです。ペットに特化してはいますが、「入院時諸費用特約」と同じ位置づけと言えます。

なお、この特約は人身傷害保険の特約の位置づけのため、人身傷害への加入も必須です。


ペット費用特約で補償される範囲と金額

この特約では、以下に関する費用に対して保険金が支払われます。


  • 治療費用
  • 入院費用
  • 葬祭費用(葬式の費用)
  • 臨時費用(墓石・墓地代など)



治療費・入院費・葬祭費用はすべて実費が支払われますが、最後の臨時費用だけは一定額の支払いになっています。

支払われる保険金額は以下のとおりで、アクサダイレクトより共栄火災のほうがより手厚くなっています。


アクサダイレクト 共栄火災
治療費 10万円限度 5万円限度
入院費 10万円限度
葬祭費用 10万円限度
臨時費用 × 3万円

散歩中にペットが車に轢かれた場合は補償される?

ところで、同じ自動車事故でも、ペットが車に同乗している場合ではなく、散歩しているときにペットが車に轢かれたような場合は、補償されるのでしょうか。

この場合は、このペット補償特約の対象とはなりません。



では、他人に轢かれた場合でも、まったく何も補償されることがないかというと、そういうわけではありません。

ペットは心情的には家族の一員であっても、法律上は「人」ではなく、「物」として扱われます。そのため、ペットを轢いた時には、物損事故扱いになり、相手の対物賠償保険から保険金が支払われます。(ノーリードで散歩していたような場合は、自分側にも過失が生じるため、減額される)

ただ、「物」扱いなので、事故の際の時価額までしか補償はされません。ペットが年寄りであったり、雑種のような場合ば、十分な保険金は下りないかもしれません。



また、物損事故のため、基本的には慰謝料が支払われることもありませんが、近年はペットであっても慰謝料が認められるケースが増えてきています。

なお、自動車事故ではなく、散歩中にペットが他人に噛みついてケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったというような場合は、個人賠償責任保険の補償範囲です。