「臨時費用特約(臨時費用保険金/対人臨時費用特約)」とは?補償の範囲は?領収書は必要?



「臨時費用保険金」は、事故が発生した時の見舞金や弔慰金といった、臨時に発生する支出の費用を補償してくれる特約です。

例えば、自分が加害者の事故を起こし、相手がケガをして入院した場合はお見舞いに、死亡させてしまった場合は慰問や葬儀参列をすることになります。しかし、相手の補償を行う自賠責保険からはこういった費用は支払われません。

事故自体の損害額と比較すると、見舞金や弔慰金の額は大きくはありませんが、一度にある程度まとまった金額が必要になりますので、こういった補償も意外に重要です。


臨時費用特約の種類

臨時費用保険金の中では、事故の相手が死傷し、その賠償責任を負った場合に、「人」に関する臨時費用を補償する「対人臨時費用特約」が最も一般的です。また、この「対人臨時費用特約」は、対人賠償に加入すれば自動的に付帯されるケースがほとんどです。

一方、物損事故における臨時費用(店舗を破損してしまったので、お詫びに行くときの費用など)を補う「対物臨時費用保険金」や、自分側の被害に対する臨時費用(葬儀代や入院費の差額ベッド代など)を補う「人身傷害臨時費用保険金」といった特約を提供している保険会社も、ごく一部ですが存在します。


臨時費用特約で補償される範囲

「対人臨時費用特約」を提供している保険会社により、補償される範囲や金額は多少異なりますが、おおむね以下のような形になっています。


  • 被害者が死亡した場合:一律15万円~20万円
  • 被害者が3日以上入院した場合:1万円~3万円



また、物損事故や自分側の被害に対する臨時費用についても補償する特約を扱っている、東京海上日動保険のような会社もあります。東京海上の特約の補償内容は、以下のようなものです。


保険金 補償内容
対人臨時費用保険金
(相手に対する補償)
相手方への香典や見舞い金などの費用
人身傷害臨時費用保険金
(自分や家族に対する補償)
葬儀代や入院時の差額ベッド代などの費用
対物臨時費用保険金
(物損事故の相手に対する補償)
相手方への見舞い金などの費用



なお、この東京海上の特約では、「対人臨時費用保険金」は対人賠償に、「人身傷害臨時費用保険金」は人身傷害に自動付帯する形になっていますが、「対物臨時費用保険金」だけは、対物賠償のオプション(任意で加入する特約)になっています。


臨時費用保険金は対人賠償で補償しているケースも多い

実は、見舞金や弔慰金などの臨時費用は、対人賠償保険で補償するシステムになっていることが多いです。つまり、別途特約で補償するのではなく、こういった臨時費用も損害の一部とみなし、対人賠償保険で保険金を支払う形にしているわけです。



一方で、臨時費用については対人賠償でも補償せず、臨時費用特約自体もない会社もあります。(通販・ダイレクト型の保険会社に多い)

また、ソニー損保のように、一般的な自動車保険には臨時費用は補償されず、臨時費用特約もありませんが、「やさしい運転キャッシュバック型」(ドライブカウンタで運転状況をチェックし、安全運転をするドライバーの保険料の割引を行うシステム)では、「対人諸費用特約」という臨時費用を補償する特約を付けることができる、といったケースもあります。



以上のように、臨時費用が補償されるかどうかは、保険会社によって大きく異なりますので、万が一のために約款を確認しておくといいでしょう。

ただ、実際に対人賠償で臨時費用についても補償されるかどうかは、公式サイトを見てもわからないことが多いです。

そのため、契約している保険の「普通保険約款」(『ご契約のしおり(約款)』などの名称で契約時に送られてきているもの)内にある、「賠償責任条項」(対人賠償保険や対物賠償保険の補償適用範囲や保険金の計算方法が記載されている項目)などを参照するか、サポートに問い合わせましょう。


臨時費用保険金は定額・請求の際に領収書は不要

臨時費用特約に関しては、実費に対する補償ではなく、あらかじめ保険会社側が決めた額が支払われます。相手に対する補償が自賠責保険の範囲内で収まった場合(任意保険を使わなくて済んだ場合)でも、臨時費用特約の保険金は支払われます。

また、保険金を受け取る際には、領収書などの提出は不要です。これは、見舞金や香典が、被害者に直接手渡しする性質のものであるからで、請求をすれば定額が支払われます。

さらに、臨時費用の支払いだけ受けた場合は、翌年の等級にも影響はありません。



なお、この特約は、過去に保険会社の不払い事件で話題になったことがある特約のため、聞き覚えがある人も多いかもしれません。この特約に関しては、請求がなければ払わないという方針であったため、契約者がこの特約の存在に気づかず、請求しないケースが多かったために発生した事件でしたが、現在は該当するケースに関しては支払われるようになっていますので、安心してください。