「自損事故傷害保険(特約)」とは?補償内容や人身傷害・搭乗者傷害との違いは?


自損事故傷害保険とは?

「自損事故傷害保険」とは、相手のいない自損事故(単独事故)や、自分の過失が100%の事故によって、自分が死傷したケースなどで、自賠責保険から保険金が支払われない場合に補償をする保険です。

基本的に自賠責保険は他人を補償する保険のため、運転していた本人や記名保険者がケガをしたり、死亡したりしても補償されません。また、相手のいない単独事故はもちろん、自分の過失が100%の事故も、相手の保険会社に保険金を請求することはできません。



そのため、単独事故や過失100%の事故の場合は、損害を自腹で支払うことになってしまいますが、このようなケースでも補償してくれるのが、この自損事故傷害保険です。

ここでは、自損事故傷害の補償内容と補償されるケース例、人身傷害や搭乗者傷害との違いなどについて詳しく説明します。


自損事故傷害で補償されるケース・されないケース

自損事故傷害で補償される例、されない例としては、以下のようなものが挙げます。

補償されるケース

  • 電信柱にぶつかり、ケガをした(自損事故)
  • ハンドルを切り損ねて、ガケから転落して死亡した(自損事故)
  • 停車中の車に衝突し、ケガをした(過失100%)
  • センターラインを超えて、対向車に正面衝突して死亡した(過失100%)

補償されないケース

  • 車自体の損害(車両保険にて補償)
  • 被保険者の故意または重大な過失によって生じた傷害
  • 地震、噴火、津波によって生じた傷害 など



自損事故傷害は、自分側の「人」の損害を補償するための保険のため、他人の損害や自分の車の損害などは補償されません。

上の例のように、電柱や他人の車を破損してしまった場合は、その損害は対物賠償保険にて補償されます。


自損事故傷害の補償対象者と補償範囲

自損事故傷害で補償される対象者と補償される損害の範囲は、以下の通りです。

補償対象者

  • 契約者の保有者
  • 運転者
  • 同乗者

補償範囲

  • 死亡
  • ケガ
  • 後遺障害



補償対象の同乗者には、家族だけではなく他人も含まれます。

また、補償されるのは、死亡・ケガ・後遺障害のみで、入院して働けないことによる逸失利益や精神的損害などは補償されません。(同じケースでも、人身傷害保険での補償対象になる保険会社の場合は、人身傷害にて補償)


自損事故傷害はの取り扱いパターン

自損事故傷害は自動付帯になるケースがほとんどですが、その取り扱いは保険会社によって異なり、主に以下の3つのパターンのいずれかの形になっています。

  • 対人賠償保険に自動付帯
  • 人身傷害に加入しなかった場合に自動付帯(人身傷害加入時は、人身傷害で補償)
  • 自損事故傷害はなく、すべて人身傷害にて補償(人身傷害は自動付帯)

なお、自損事故傷害を使用した場合、次年度の等級は下がります。そのため、あまりケガがひどくない場合は、自己負担にして等級を維持でき、保険料を抑えたほうがトータルではよいほうがいいケースもあります。


自損事故傷害の補償限度額は?

自損事故保険は自動付帯になっているため、補償限度額も任意に決定することが出来ません。また、他の保険で補償されないケースのみに適用される保険であることもあって、人身傷害と比べると補償金額も低めに設定されています。

実際の補償金額は、保険会社により若干の違いはありますが、おおむね以下のような形です。

被害状況 保険金額
死亡 1,500万円
後遺障害 50万円~2,000万円
(※傷害の程度により異なる)
介護費用
(重度後遺障害保険金)
200万円
(※重度かつ所定のもの)
医療費用 入院:6,000円/日
通院:4,000円/日

自損事故保険と人身傷害保険との違い

自損事故保険と人身傷害保険は、どちらも「自分側」が補償の対象で、重なる範囲も大きいです。また、人身傷害のほうが自損事故よりも広い範囲をカバーしています。

自損事故傷害は、人身傷害が開発されるよりも前からある保険ですが、人身傷害とは補償内容や範囲が被ることと、被った場合は人身傷害から優先的に支払われることになるため、実際に自損事故傷害が適用されるケースは多くありません。

人身傷害 自損事故傷害
契約自動車に乗車中 △(自損事故のみ補償)
他人の車に搭乗中や歩行中など △(契約内容によっては補償) ×
補償対象者 運転者・搭乗者・記名保険者や同居の家族が運転している車の同乗者 契約自動車の保有者・運転者・同乗者
対象 治療費~逸失利益まで(実損額) 死亡・ケガ・後遺障害のみ(定額)
補償額/補償範囲 高い/広い 低い/狭い



自損事故傷害と人身傷害のどちらの補償対象となった場合は、基本的に人身傷害から優先的に支払われますが、例外的に人身賠傷害の対象とならず、自損事故傷害から支払われる以下のようなケースもあります。

<例>
契約自動車を駐車して車外に出たところ、サイドブレーキの引き忘れで車が動き出して、二輪車に搭乗していた記名被保険者に接触し、ケガをした

自分の車で自分が轢かれても、自賠責保険はもとより、人身傷害でも補償はされませんが、この場合は自損事故傷害で補償されるわけです。


自損事故傷害と搭乗者傷害との違い

自損事故傷害と搭乗者傷害は、補償される事故の内容が異なりますが、補償範囲や補償対象など、似通っている部分も多くあります。

搭乗者傷害 自損事故傷害
補償される事故 車の事故による自分側の損害 単独事故・過失100%の事故のみ
補償範囲 契約車に搭乗時のみ 契約車に搭乗時のみ
補償対象 死亡・ケガ・後遺障害 死亡・ケガ・後遺障害
支払い方法 定額払い 定額払い
事故が人身傷害の対象の場合 支払われる 支払われない
等級への影響 使用してもダウンなし 3等級ダウン



以上のように、補償対象や支払い方法などは似ていますが、人身傷害と補償が被った場合、搭乗者傷害では両方から保険金が支払われるのに対し、自損事故傷害からは支払われません。

また、保険金が支払われた場合、搭乗者傷害では等級ダウンはありませんが、自損事故傷害では等級ダウンがあります。そのため、搭乗者傷害の対象となった場合は必ず請求したほうがいいですが、自損事故の場合はケガが軽度の場合は、保険金を請求しないほうがいいこともあります。