「無保険車傷害保険(特約)」とは?補償内容や人身傷害との違いは?



「無保険車傷害保険(特約)」は、自動車事故の相手が十分な保険金を支払うことが出来ない場合に補償をしてくれる保険です。

相手に過失がある事故で、自分や家族、同乗者が死亡したり、後遺障害を負った場合、相手の自賠責保険や対人賠償から補償されます。しかし、相手が対人賠償に加入しておらず保険金が払えなかったり、補償できる額が実際の損害と比較して十分ではない場合に、相手の支払いの不足分を補ってくれるのがこの保険です。



全国における自動車任意保険や自動車共済の対人賠償加入率は、約85%程度と言われています。つまり、交通事故にあった場合、10回に1~2回は無保険車にあたる可能性があるわけです。

相手が任意保険に加入していない場合、相手の自賠責保険の範囲でしか補償はされないことになってしまいます。そのような場合でも、相手が本来負担するべき損害賠償額の不足分を補償してくれるのが、この無保険車傷害保険です。



ここでは無保険車傷害の補償内容やケース例、人身傷害保険との違いなどについて詳しく説明します。


無保険車傷害で補償されるケース・されないケース

無保険車傷害で支払い対象となるのは、事故の相手が「無保険車」の場合ですが、相手の車が無保険車と認められるケースとしては、以下の4つがあります。


  • 相手が任意保険に加入していない場合(対人賠償保険に加入していない)
  • 対人賠償には加入しているが、被害者の損害額が補償金額を上回る場合
  • 対人賠償には加入しているが、事故が対人賠償の補償対象外の場合(相手の車が盗難車、年齢条件や各種の限定特約の条件を満たしていないなど)
  • 当て逃げ、ひき逃げなどで加害者が特定できない場合



以上のようなケースにおける事故は、無保険車傷害の対象となり、保険金が支払われます。

逆に相手の自賠責保険や対人賠償で損害を賄える場合には、無保険車傷害の対象にはなりません。


無保険車傷害の補償対象

無保険車傷害の補償対象となるのは、基本的に契約車両に搭乗中の事故のみで、補償の対象者は以下のとおりです。


  • 記名被保険者
  • 家族(同居・別居の未婚の子)
  • 同乗者



ただ、記名被保険者とその家族に関しては、契約車以外に搭乗中の場合や、歩行中の無保険車との事故に関しても補償の対象になる場合があります。(ただし、人身傷害の契約に車外での補償をつけた場合のみ、という条件が付く保険会社もあります)


無保険車傷害の補償範囲

無保険車傷害で補償されるのは以下の場合で、自分側の「人」に対する損害のみですが、実はケガは補償の対象外です。


  • 死亡
  • 後遺障害



治るケガの場合には、無保険車傷害では補償されず、相手の自賠責保険からの120万円(上限)のみが補償されることになります。当然、事故による逸失利益(休業補償など)や自分の車の損害についても補償されないため、ごく最低限の補償に留まります。

そのため、ケガで自賠責保険以上の損害が出た場合や逸失利益などに関しては、相手に直接請求することになりますが、相手に支払い能力がない場合や支払いに時間がかかる場合は、泣き寝入りすることになってしまいます。

もちろん、自分が人身傷害に加入していれば、不足分の損害や逸失利益なども人身傷害で補償してもらうことができますし、車両保険に加入していれば、車の修理費用も支払われます。


無保険車傷害で支払われる保険金額

無保険車傷害で支払われる保険金額は、以下のいずれかが上限になります。


  • (自分の任意保険の)対人賠償の補償額と同額
  • 対人賠償が無制限の場合は2億円まで



いずれの場合でも、相手の自賠責保険から支払われる分は差し引かれます(手続きは自分の保険会社が行ってくれる)。つまり、無保険車傷害では、不足分のみ補償されるということです。

また、無保険車傷害を使用しても次年度の等級は下がりません。


無保険車傷害と人身傷害保険との違い

無保険車傷害と人身傷害保険は、どちらも自分や家族、同乗者の「人」に対する損害を補償する保険で、事故の相手が負担するべき損害賠償額の不足分を補うものです。

どちらも内容的に重複している部分が多く、重複した場合は人身傷害から優先的に支払われるのが基本です。

人身傷害 無保険車傷害
事故の状況 契約車両・他車搭乗時・歩行中など(※) 契約車両搭乗時のみ
補償の対象 死亡・後遺障害・ケガ 死亡・後遺障害のみ
相手が負担するべき損害額の不足分 補償される 補償される
自分の過失分 補償される 補償しない

※人身傷害の「車外補償タイプ」の場合



以上のように、無保険車傷害で補償されるのは、相手の過失分だけで、自分の過失分については補償されません。自動車事故の場合、自分にまったく過失がない事故というのは少ないため、やはり人身傷害には加入しておくのがいいです。

なお、多くの保険会社で、無保険車傷害は自動付帯になっていますが、特約として任意で加入できるように設定されている場合は、人身傷害に加入していない場合のみ加入が可能という形になっています。