「車両保険」とは?補償されるケースは?使用すると等級がダウンする?



「車両保険」は、任意保険の中でも、自分の車の被害を補償対象とした保険です。

車両保険の契約内容に応じて補償範囲は変わりますが、交通事故から盗難、自然災害といった、幅広い状況で起こった損害に対しての補償が可能です。

この車両保険から支払われる保険金により、車の修理費用・全損時の買い替え費用を負担することできます。

ここでは、車両保険で補償されるケースや補償内容、保険料の決まり方や等級への影響などの詳細について説明します。


車両保険で補償されるケースは?盗難や自損事故は補償される?

車両保険で補償される例、されない例としては、以下のようなものが挙げます。

補償されるケース

  • 車同士の事故で車が破損した
  • 車に落書きやいたずらをされた
  • 車が盗難にあった
  • ガードレールで車をこすった
  • 当て逃げされた
  • 洪水で車が浸水して動かなくなった
  • 石が飛んできて車に傷がついた
  • 車庫入れに失敗して車に傷がついた

補償されないケース

  • 車が故障した(事故によるものではない場合)
  • 地震で車が破損した
  • 飲酒運転など運転者に重大な過失がある場合



洪水や火災などの天災による被害は車両保険で補償されますが、天災の中でも地震や津波、噴火に伴う車の損害は、車両保険では補償されません。

ただ、東日本大震災以降、ユーザーからの要望により、地震などの場合でも補償される「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」を提供している保険会社も出てきました。


車両保険を付けられないケース

すべての車が車両保険に加入できるわけではありません。保険会社によって、具体的な条件は変わりますが、以下のようなケースでは、車両保険に加入できません。


  • 初度登録(検査)年月から18年以上が経過している車
  • 車両保険金額(新価保険金額)が高価な場合(1,000万円超など)
  • 車両料率クラスが9の車



車が古い場合、市場価格はゼロになりますし、車が高価な場合はちょっとしたキズであっても修理代金が大きくなりがちです。また、「料率クラスが9の車」は主にスポーツカータイプの車で、事故率が高い傾向があります。

こういった車の場合、車両保険への加入を認めると、保険会社にとっての支出が大きくなる可能性があるため、車両保険自体に加入できないようにしているわけです。

ただ、通販型(ダイレクト型)の保険では車両保険に加入できない場合でも、代理店型では加入できるケースもありますので、どうしても上のような車で車両保険に加入したい場合は、代理店型の保険会社に確認してみるといいでしょう。(ただ、保険料はかなり高価になります)


車両保険の種類(タイプ)と補償範囲

車両保険には、主に以下の4のタイプがあります。


  • 一般型(一般車両・フルカバー・ワイドカバー型)
  • エコノミー型+限定A(車対車+A・限定車両・限定カバー)
  • エコノミー型(車対車・車両危険限定)
  • 限定A



上に行くほど補償範囲が広く、下に行くほど補償範囲を狭くすることで、保険料を安くしています。「限定A」の「A」はアクシデント(災難)のAから取られており、「車両危険限定担保特約」とも呼ばれているタイプで、自動車事故以外の損害のみに限定して補償するタイプです。

保険会社によっては、上の4タイプのうち、2タイプのみ提供していたり、さらに細かく分類して9タイプなどにしているところもあります。(2タイプの場合は、「一般型」と「エコノミー+限定A」というパターンが多い)



以下は、各タイプが具体的にどのような損害を補償してくれるのかの例です。 

補償内容 一般型 エコノミー型+限定A エコノミー型 限定A
他車との事故 ×
盗難・いたずら ×
火災・洪水などの災害 ×
自損事故 × × ×
当て逃げ × × ×



補償範囲が広いほど、保険料は高くなります。そのため、保険料を抑えたいのであれば、補償範囲をできるだけ限定したほうがいいでしょう。


補償タイプの選び方

多くの会社では、「一般型」と「エコノミー型+限定A」の2つのタイプを提供していることが多いですが、これらのタイプを選ぶ目安としては、以下のようなものがあります。

一般型

  • 運転に慣れていない人(単独事故が多い)
  • 道幅の狭い道路や自転車の多い道路を走行することが多い人
  • 新車で購入した人
  • ローンの残債がある人

エコノミー型+限定A

  • 自損事故やあて逃げなどは仕方がないと割り切ることができる人
  • 一定の補償範囲で十分と考える人
  • 保険料が安い方が良いと考える人

新車やローンがある場合は、車が全損してしまうとローンだけが残ってしまうことになりますので、一般型に入る人が多いです。新車以外で、車両保険の補償金額が100万円以下に収まる場合は、エコノミーで十分でしょう。


車両保険の保険金の支払い

車両保険による保険金は、損害の規模が「全損」か「分損」かによって金額が異なります。

損害の規模 補償額
全損 修理費が時価額を超える場合
盗難されて発見されない場合
保険金額、または時価額
分損 上記以外の場合 修理費用-免責額



いずれの場合でも、事故による損害で、事故の相手に過失がある場合は、相手の保険からも保険金が支払われます。

その場合、実際に車両保険から支払われる保険金は、以下のようになります。

・車両保険から支払われる保険金=「保険金額か時価額(または修理費用)」-「自分の過失分」



なお、相手が任意保険に未加入の場合は、相手から保険金は支払われません(強制加入の自賠責保険は対人のみの補償のため)。その場合でも、自分の車両保険から支払いを受けることが出来ます。


車両保険の保険料の決まり方

車両保険に加入する場合、補償額を設定することになりますが、その補償額は契約時点における、契約車の「時価総額」によってある程度の幅が自動的に決められます。

そして実際の保険料は、その「時価総額」と「車両料率クラス」、そして設定した「免責額」によって決まります。


契約車の時価総額

車両保険で設定できる保険金額の上限は、車の市場価格(時価総額)によってある程度、自動的に決められます。そのため、必ずしも自分の好きな額を設定できるわけではありません。

たとえば、新車で購入した時には200万円の車だったとしても、保険に加入する時点の時価総額が100万円の価値しかない車に、200万円の保険金額を設定することはできません。

時価総額とは、車の初年度登録から経年による価値の減少を見込んだ実際の価値のことで、年々その価値は下がっていきます。そのため、古い車の場合は、支払われる保険金が実際の損害より少なくなってしまうこともあります。


車両料率クラスとは?

また、たとえ時価額が同じであっても、車種が違うと保険料も異なります。

車両保険では、車種別に事故率に応じて9つのクラスに分類しており、そのクラスごとに保険料を変えています。分類することにより、事故率の高い車は保険料を高く、事故率の低い車は保険料を安くすることができます。

車両料率クラスが1は事故率が低く、逆にクラス9は事故率が高いです。

車両料率クラス クラス1 クラス9
特徴 事故を起こしにくい車
修理費用が安く済む車
交通事故を起こしやすい車
修理費用が高くつく車(高級車)
盗難にあいやすい車
タイプ 軽自動車・セダンなど スポーツカー・高級車など
保険料 安い 高い

一般的に、車両クラス9の車は、クラス1の車と比べると4倍も保険料が高くなります。

そのため、車を購入する前に、車両クラスもあわせて確認しておけば、自動車保険料を節約することにもつながります。


免責金額とは?

車両保険には、免責金額を設定することになっています。

「免責」とは「責任を免除する」という意味ですが、この場合に責任を免除されるのは保険加入者ではなく、保険会社のほうです。つまり、「この免責金額の範囲については、保険会社が支払いを免除される」という意味で、すなわち保険加入者の「自己負担額」のことを指します。

自己負担額を設定する分、保険会社は支払額が減るわけですので、その分保険料は安くなります。



この免責金額は、5万円~20万円など、5万円単位で設定する形になっています。また、免責金額も、保険期間内における1回目の事故に対する免責金額、2回目に対する免責金額と、2回分の免責金額を決めることが多いです。

この設定金額については、保険会社によって異なりますが、たとえば1回目の事故に関しては自己負担(免責額)が0円、2回目に関しては10万円まで、といった形で設定します。この場合、1回目の事故に関しては、保険会社が全額支払ってくれますが、2回目の事故に関しては10万円まで自己負担しなければなりません。



また、車同士の事故による損害で、相手にも過失がある場合は、相手の保険から賠償金が支払われる場合には、その分の自己負担は発生しないこともあります。(「自己負担額-相手からの回収金」が実際の自己負担額)

たとえば、免責額を10万円に設定していて、相手から10万円以上賠償金が支払われるケースでは、自己負担はゼロになります。


車両保険を使うと等級ダウン+保険料が上がる?

車両保険を使って保険金を受け取った場合、以前はその内容に応じて、次年度の等級がダウンしました。

その後ノンフリート等級の制度が変わった関係で、現在は保険金を受け取っても等級自体はダウンしませんが、「事故有係数」が適用されるようになっています。



少々複雑なので詳細は別記事にて解説しますが、「事故有係数」の有り無しで割引率が異なってくるため、たとえ同じ等級であっても、保険料が大きく異なってきます。

また、事故有係数適用期間に、再度事故を起こすと、6年を限度に「事故有係数適用期間」が延長されることになります。



なお、相手のある事故で、自分側に過失がなく、相手自動車の情報(登録番号)と、相手自動車の運転者の情報(住所・氏名)が確認できる場合は、「車両保険の車両無過失事故に関する特約」により翌年度以降の等級は下がりません。